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顧客満足度を高め、マーケティング活動を効率化するためのUplift Modelingの適用

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Summary

Marketing Data Scienceチームは、メルカリのお客さま(潜在的なお客さまを含む)との関係性を重視しています。私たちのゴールは、より良いユーザー体験とビジネス改善の実現にあります。

Marketing Data Scienceチームでは、お客さまのエンゲージメントを高めるために、さまざまな種類のキャンペーンを設計しています。お客さまによって、キャンペーンに対する興味は異なります。どのように各お客さまに適したキャンペーンを通知して顧客満足度を高め、さらにマーケティング活動を効率化するかが、Marketing Data Scienceチームの主なタスクです。

Purpose

キャンペーンに参加した場合としなかった場合、それぞれのお客さまの反応を予測するために用いているUplift Modeling(アップリフト・モデリング)を紹介します。それぞれのシナリオの違いをUplift Score(アップリフト・スコア)とします。もしユーザのUplift Scoreが高い場合はキャンペーンに対して関心が高いと考えられるので、通知を送ります。逆に低い場合には通知したとしても反応が低い、または否定的な反応が想定されるため、お客さまに迷惑をかけないためにも通知を送りません。お客さまと適切なキャンペーンのマッチングによって、優れたユーザー体験と効率的なキャンペーン予算組みを実現します。

Description

一般的にマーケティング担当者は、マーケティング・コミュニケーション(キャンペーン/プロモーション)の影響度に応じて、顧客を4つのカテゴリーに分けています[1]。

  • DNDユーザー(Do-not-Disturbs, あまのじゃく)は、マーケティングコミュニケーションに対して、強いネガティブな反応を示します。彼らは何もしなければ購入し、何かすると購入しません。これではマーケティング予算が無駄になるだけでなく、ネガティブな印象しか与えられないでしょう。
  • 無関心ユーザー(Lost Causes)は、連絡を受けても受けなくても製品を購入しません。この場合、効果がないのでマーケティング予算が無駄になります。
  • オーガニックユーザー(Sure Things)は、連絡の有無に関わらず、とにかく購入します。キャンペーン効果はないので、予算を使う必要性はありません。
  • 説得可能ユーザー(Persuadables)は、マーケティング・コミュニケーションに対して、常にポジティブな反応をします。彼らは、連絡を受けた場合にのみ購入します(またはより多く、より早い時期に購入します)。

この因果関係はUplift(アップリフト)と呼ばれ、2つの確率の差で予測されます。ここで、𝑌 は対象の行動を決めるフラグ、𝑊はコミュニケーションのフラグとします。

これで、カテゴリーごとにUplift値を算出できます。

メルカリのマーケティング・コミュニケーションの種類は様々です。そこで、キャンペーンごとに説得力のあるものだけに焦点を当てることを目指しています。説得可能な人のUpliftは、他の3カテゴリーとは異なります。そこで、説得可能かどうか区別するために、お客さまのUplift値を予測します。Uplift Modelingとは、ある施策の因果関係を個人レベルで説明・推定することを目的とした、予測モデリング手法になります[2]。これは、デジタル広告業界において、最も効率的なユーザー(説得可能ユーザー)に向けてマーケティング活動を行うために利用されています[3]。

Uplift値の推定は、因果推論と機械学習の問題になります。なぜ因果推論の問題なのかというと、ある個人にとって互いに排他的な2つの結果の差を推定する必要があるからです。顧客がキャンペーン通知を受け取るか否か、相対する事実への質問に答えを出すのがUplift Modelingの課題になります。また、Uplift Modelingは機械学習の問題でもあります。なぜなら、異なるモデルをトレーニングし、複数の条件に従って最も信頼性の高い予測をもたらすモデルを選択しなければならないからです。これには、特徴エンジニアリングに加えて、正しいクロスバリデーション戦略が必要です[4]。

Marketing Data Scienceチームでは、Uplift Modelingの研究と開発、その両方に取り組んでいます。さらにパフォーマンス向上を目指して、新しいUplift Modelingの実験を行っています。また、モデルをメルカリの各サービスに適用して、現実のシナリオにおけるパフォーマンスを検証し、ユーザー体験とキャンペーンのビジネスインパクトを向上させています。

Reference

[1] the basic tutorials of scikit-uplift
[2] Diemert, Eustache, et al. "A large scale benchmark for uplift modeling." KDD. 2018.
[3] Radcliffe, Nicholas. "Using control groups to target on predicted lift: Building and assessing uplift model." Direct Marketing Analytics Journal (2007): 14-21.
[4] Gutierrez, Pierre, and Jean-Yves Gérardy. "Causal inference and uplift modelling: A review of the literature." International Conference on Predictive Applications and APIs. PMLR, 2017.