Interview

「Sell体験の向上はメルカリの要」アイテムクーポンPJの半年を振り返る

<p>メルカリは、<a href="https://about.mercari.com/press/news/articles/20230501_generativeai/">2023年5月に生成AI/LLMの専任チーム設立を発表</a>。このチームを立ち上げ、主導するのは、ソウゾウ代表取締役CEOとしてメルカリShops事業を牽引してきた石川 佑樹（<a href="https://twitter.com/maze_rapid">@maze</a>）です。<br />
メルカリはこれまで、UI/UXのみならず、マーケティングやカスタマーサポートなど、幅広い領域でAIを活用してきました。今後、「メルカリのAI活用の1つの柱になる」と捉え、石川自らが経営会議にてチームの立ち上げを提案した生成AI/LLMチーム。この技術への思い、3ヶ月の取り組みの中で見えてきたもの、チームとしての中長期的な展望について聞きました。</p>
<h3>プロフィール</h3>
<p><strong>石川 佑樹 | 株式会社メルカリ 執行役員 VP of Generative AI / LLM<br />
</strong><br />
東京大学卒業後、2012年任天堂株式会社入社。2014年にモイ株式会社（ツイキャス）に入社し、各種開発や新規立ち上げに従事。2017年6月メルカリグループの株式会社ソウゾウ（旧）に入社。その後、株式会社メルカリへ異動を経て、2020年7月より株式会社メルペイ執行役員VP of Product。2021年1月から株式会社ソウゾウ代表取締役CEO。2022年7月から株式会社メルカリ執行役員VPを兼任。</p>
<h2>「メルカリとして絶対にこの領域に取り組むべき」だと感じた</h2>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-ai-asset/2023/10/4a8052b6-maze_interview3-1024x683.jpg" alt="" /></p>
<p><center><br />
石川 佑樹 | 株式会社メルカリ 執行役員 VP of Generative AI / LLM<br />
</center></p>
<p><strong>ーー2023年5月にメルカリの生成AI/LLM専門チームが設立されました。専任チームを立ち上げた背景と、目的について教えてください。</strong></p>
<p><strong>石川：</strong>生成AI/LLMの専任チームについては5月に正式にリリースを出しましたが、2023年の2月から構想を進めていました。2022年の夏頃の<a href="https://stablediffusionweb.com/">StableDiffusion</a>や、2022年末の<a href="https://chat.openai.com/auth/login">ChatGPT</a>の登場を受け、個人的に注目していました。色々と試していくうちに、メルカリの事業や社内業務として活用できそうなアイディアがたくさん思い浮かび、経営会議で「メルカリとして絶対にこの領域に取り組むべき」と提案したことが専任チーム設立のきっかけです。今年の春の時点では、生成AI領域に関しては不確実性が高い状況だったので、まずは機動的に動ける少人数の専任チームを作りました。</p>
<p>生成AI/LLMチームのミッションは、「①生成AIの技術を用いて、新たな顧客体験を創り、事業インパクトを最大化させる」、そして「②全社の生産性を劇的に向上させる」という2点です。</p>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-ai-asset/2023/10/36b404ab-maze_interview1-1024x570.png" alt="" /></p>
<p><center><br />
『MS Build Japan2023』での発表資料より<br />
</center></p>
<p>最初期は、フルスタックかつ、過去にMLのプロジェクトに関わっていたエンジニアにジョインしてもらいました。現在はエンジニアや、デザイナー、BizOpsのメンバーによって構成されています。引き続きエンジニア採用も進めています。</p>
<h2>エンジニアの開発体験を向上する「GitHub Copilot」の導入</h2>
<p><strong>ーーAI/LLMチームの設立から数ヶ月が経ちました。これまでに取り組んだ具体的な施策について教えてください。<br />
</strong></p>
<p><strong>石川：</strong>まず、「全社の生産性を劇的に向上させる」というミッションに関連して、エンジニアの開発体験のための『<a href="https://github.com/features/copilot">GitHub Copilot</a>』を導入しました。GitHub CopilotはAIが最適なコードを提案してくれる、プログラミングをサポートするツールです。コメントからコードを生成したり、記載途中のコードから続きを補完してくれたりと、開発体験を向上する支援ツールとして活用されています。GitHub Copilotによる開発生産性に関して、導入によってタスクの完了速度が約2倍早くなった、という公式の見解もあったりします。今後、導入企業とそうでない企業では大きな差が生まれうると考え、多数のエンジニアを擁する会社として、まず導入したかったツールでした。生成AI/LLMチームが旗振りをし、Corporate Engineerチームが主導してくれ、6月には希望するエンジニアが使用できるようになりました。</p>
<p>導入時の懸念として、3つのリスクがあることを整理しました。1点目が著作権侵害やオープンソースラインセンスの違反を含む法的なリスク、2点目が法的リスクに連なったレピュテーションリスク、最後が社内のコードがGitHub Copilotを通じて情報漏洩するリスクです。</p>
<p>それぞれの観点で検証を行った結果、一定の制限を設けることで、使用に関しては問題ないという結論になったため、今はメルカリのエンジニアは誰でも使用できるようになりました。導入後の具体的な検証はこれからですが、シニアなエンジニアからは「かなり楽ができるようになった」という声を聞き、比較的エンジニア歴が短い人からは「悩んだ時の教科書のように使えている」とフィードバックを受けています。専業プログラマーでない人でも、それなりに綺麗なコードが書けるため、開発に携わる広いメンバーに対してメリットがあるツールだと感じています。</p>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-ai-asset/2023/10/bf386527-maze_interview5-1024x683.jpg" alt="" /></p>
<h2>自然な会話を通じて商品を探せる、新しいお客さま体験</h2>
<p><strong>ーー2023年7月には、<a href="https://about.mercari.com/press/news/articles/20230724_chatgpt/">ChatGPTのプラグイン導入</a>も発表されていました。</strong></p>
<p><strong>石川：</strong>一般的にメルカリを含むECのサイトでは、お客さまがある程度欲しいものが頭にある状態でのキーワード検索や、検索履歴に基づくおすすめアイテム表示などが中心だと思います。</p>
<p>しかし、今回のプラグイン導入によって、ChatGPTとの対話によって商品を検索することが可能になりました。「初めてのキャンプに必要なものを教えて」「5歳の女の子が喜びそうなプレゼントは？」など、特定の商品を思いついていない状態でも、自然な会話を通じて商品を探せるため、これまでのお客さま体験とは異なる機能となっています。今後の検証結果によっては、メルカリアプリ本体への実装も考えています。</p>
<p>導入後、当初の想定よりも使われているな、というのが素直な感想です。現在、ChatGPTプラグインが使用できるのは有料版であるChatGPT Plusが使える方のみです。当該機能を使用しているユーザー層としては30〜40代の男性が多く、娘やパートナーへのギフトの相談、趣味の電化製品やカメラの絞り込みといった目的でよく利用されています。ガジェットや家電の複雑な機能に関して、自然な言語でアイテムを絞り込めるのはたしかにすごく便利ですよね。ChatGPTによるサジェストの結果、メルカリへの流入にも貢献しています。今後も引き続き、データを追っていきます。</p>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-ai-asset/2023/10/2a5fa68e-maze_interview2-1024x683.jpg" alt="" /></p>
<h2>生成AIのクリエイティブを、採用やマーケティングへ活用</h2>
<p><strong>ーーmazeさんのX（旧Twitter）にて、<a href="https://x.com/maze_rapid/status/1686525669642289153?s=20">生成AIを活用したチームの採用クリエイティブ</a>がアップされていました。クリエイティブへの活用に関する展望があれば教えてください<br />
</strong><br />
<img src="https://storage.googleapis.com/prd-ai-asset/2023/10/cb5c6c13-images_maze.png" alt="" /></p>
<p><strong>石川：</strong>まずはテストとして、生成AI/LLMチームの採用のためのクリエイティブを生成し、私のXアカウントで数日間ポストしていました。これらの画像は、生成AIで作ったクリエイティブに、デザイナーが背景に合わせた文字入れをしています。今は少しだけ人の手が介在している状況ですが、今後はテキストの指示だけでも思い通りのクリエイティブ生成ができるようになると思います。</p>
<p>今後の展望としては、キャンペーンや、広告のクリエイティブへの生成AIの活用を検討しています。</p>
<p>具体的には、以前評判のよかったメルカリの広告のデータを踏まえた広告クリエイティブを生成し、デジタル広告やOOH（屋外広告）で活用できないか、取り組みを進めています。<br />
現在（2023年10月3日時点）、渋谷駅の屋外広告にて、メルカリのハロウィン関連のCMを流しているのですが、こちらのプロモーション動画は実は生成AIによって作られたクリエイティブです。</p>
<p><center><br />
<iframe loading="lazy" width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/IWgwWYrhaMs?si=IvUJHo_QU7DOznVL" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe><br />
渋谷のスクランブル交差点にて放映中のメルカリのCM<br />
</center></p>
<p>また、トレーディングカードのクリエイティブ生成に使えないか？という取り組みも進めています。著作権上、実在するカードの画像は広告に使えないのですが、トレーディングカードとわかるクリエイティブをAIで生成し、広告などに使用できないか検討しています。リーガル回りの整理も並行して進めており、こちらも近日のリリースを目指しています。</p>
<h2>これからの半年は、成功と失敗を重ね、多くの挑戦をするフェーズ</h2>
<p><strong>ーー今後、生成AI/LLMチームとして、さらに挑戦していきたいことはありますか？<br />
</strong><br />
<strong>石川：</strong>これからの半年間は、生成AIを用いた体験でどのような体験がつくれるのか、どの程度のインパクトが出せるのか、あらゆる領域で試行錯誤していきます。</p>
<p>この半年においては「半分くらい失敗してもいいかな」くらいの気持ちで、なるべく広く・多くの取り組みに挑戦していくことが重要です。その結果、生成AI/LLMが上手くハマるところと、そうでないところが見えてくるのかなと。いくつかの施策をまとめ、評価レイヤー、プラットフォームレイヤー、そしてML Ops的な組織がどのように必要かどうか、見極めていく必要があると考えています。</p>
<p>自社サービスへの導入や、ビジネス上のインパクトを作ることはもちろん大事な指標ですが、私たちはメルカリ社内の技術理解を推進していくことも非常に大事なミッションだと捉えています。1年後の視点ですと、生成AI/LLMがメルカリの開発体験における、より中核技術として浸透していくべきです。UI/UXに関して出品・購入をなめらかにする観点などはもちろん、バックエンドのアルゴリズムまで含めて、生成AI/LLMが浸透している状態を目指しています。</p>
<p><strong>ーーAI/LLMチームの今後の組織体制についても、展望があれば教えてください。</strong></p>
<p><strong>石川：</strong>引き続き、専任チームで機動的な技術探索・プロダクト開発を進めていきますが、中長期的に、メルカリのあらゆるメンバーが生成AI/LLMを活用できている状態にするべく、活動を進めていければと考えています。</p>
<p>今後、メルカリ内で生成AIのモデル自体の開発を進めていくかどうかということも併せて検討しています。社内だけの力に限らず、広く社外との連携も見据えていけたらと考えています。</p>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-ai-asset/2023/10/5596b7e9-maze_interview6-1024x683.jpg" alt="" /></p>
<h2>メルカリの魅力は、豊富なデータ量を活用しながらダイレクトなフィードバックを得られること</h2>
<p><strong>ーー生成AI/LLMの可能性を探索する場として、メルカリの魅力があれば教えていただけますか</strong></p>
<p><strong>石川：</strong>メルカリで生成AI/LLMに取り組む魅力は2つあります。1つは豊富なデータがある会社であること。AIプロダクトはデータ量がモノを言う側面がありますが、その点、メルカリを通じて蓄積された大量のデータを扱うことができます。もう1つは、作ったシステムをディストリビューションした結果、ダイレクトなフィードバックをたくさん得られること。この2つは、AIを使ったサービスを開発する上で強い魅力だと感じています。</p>
<p>生成AIは、お客さまに関連する部分でできることもたくさんありますし、社内の生産性向上に関しても、今後、働き方レベルで大きな変化が訪れると考えています。メルカリは現在2000人超のメンバーを擁し、おしなべて社員のITリテラシーが高く、さまざまな取り組みを実験できる環境です。生成AI/LLMを使った業務設計・組織設計などを社内で検討し、どんどんPoCを進めていけると考えています。</p>
<p>実は、「全社の生産性を劇的に向上させる」というテーマは、私個人のたっての希望でミッションに追加しました。社内では技術的な試行錯誤をしやすく、チャレンジをしやすい環境です。また、メンバー自身の働く環境が変わることで、さらに生成AI/LLMを身近に捉えることができ、技術浸透が進むと考えています。</p>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-ai-asset/2023/10/d23a319e-maze_interview4-1024x683.jpg" alt="" /></p>
<h2>生成AI/LLMチームでは一緒に働くメンバーを募集中です！</h2>
<p>メルカリの生成AI/LLMチームで働くことの面白さや、挑戦機会の多さを感じていただけたら嬉しいです。チームの募集詳細はこちらをご覧ください。<br />
<a href="https://apply.workable.com/mercari/j/183899D2BA/">Software Engineer, Full Stack (LLM/GenAI) - Mercari</a></p>
<ul>
<li>Photo : Shun Nakayama (<a href="https://shunnakayama.myportfolio.com/">Web</a> / <a href="https://twitter.com/shunnakayama_">X</a>)</li>
<li>Text : Ayumi Iga</li>
</ul>


メルカリは生成AI/LLMをどう活用するのか？掲げたミッションは「新たな顧客体験と事業インパクトの創造」と「全社の劇的な生産性の向上」

Blog

<h2>概要</h2>
<p>この度、メルカリAIチームのエンジニアである紫藤 佑介・柳沼 慎哉・田口 直弥・古澤 智裕、田中 涼による論文「Layout Optimizer for Personalized Home Screen based on Contextual Multi-Armed Bandit in C2C Marketplace」が、国際学会「<a href="https://recsys.acm.org/recsys23/">RecSys 2023（ACM Conference on Recommender Systems）</a>」内の「<a href="https://sites.google.com/view/consequences2023/home">CONSEQUENCES ‘23ワークショップ</a>」に採択されたことをお知らせいたします。</p>
<p>RecSysは、推薦システムの分野で最も権威ある国際学会の一つであり、世界中の研究者らによって毎年開催されています。開催17回目である今年のRecSysは、シンガポールにて2023年9月18日から22日まで開催されました。</p>
<h2>発表内容のポイント</h2>
<p>今回の発表ではお客様のメルカリの使い方に基づいて、商品推薦以外も含めた多くのコンテンツの中からより魅力的となるコンテンツを優先的にホーム画面に表示する方法を提案し、その実験結果を報告しました。</p>
<p>今回提案する手法では、どのようなコンテンツがどのようなお客様にとって魅力的かという事前知識を与えず、データ収集の為の探索的な画面表示と機械学習が行われた結果、最適とされた画面表示が自動的に行われ、全体的な満足度を最適化します。</p>
<h2>研究の背景</h2>
<p>メルカリでは、レコメンデーションチームを始め、複数のチームが、アプリのホーム画面に表示するコンテンツを開発しています。ホーム画面には、商品推薦やキャンペーンの告知など様々な種類のコンテンツが存在し、さらに、同じ商品推薦でも複数の推薦手法や表示方法が存在しています。</p>
<p>お客様によって推薦する商品が異なるのは当然ですが、どのような推薦手法が良いか、キャンペーン告知がどの程度効果的か、という点もお客様によって異なります。</p>
<h2>研究概要</h2>
<p>メルカリを含めたECサービスにおいて、ホーム画面は多くの閲覧を集める重要な画面ですが、一画面に表示できるコンテンツの量は限られており、魅力的なコンテンツを優先的に上部に置いた画面構成にすることが一般的です。<br />
しかしながら、魅力的なコンテンツはお客様によって異なるため、パーソナライズされた画面構成を行う必要があります。<br />
今回の研究では文脈付き多腕バンディット（contextual multi-armed bandit problem）アルゴリズムを応用した手法を提案し、実験の詳細と結果について報告しました。</p>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-ai-asset/2023/09/6d29996b-recsys.png" alt="" /></p>
<h2>発表後のコメント</h2>
<p><strong>ML Engineer / Backend Engineer | 紫藤 佑介<br />
</strong><br />
今回はポスター発表という形式だったこともあり、時間をかけて、各国の研究者やエンジニアと対面で議論を行うことができました。</p>
<p>特に、企業に所属する開発者や研究者からの、興味を持たれたり、質問を受けたりすることが多く、今回発表した内容が、さまざまな企業で共通する課題であることを感じました。</p>
<p>RecSysでのワークショップを含めた5日間は、非常に有意義なインプットの機会となりました。今後も得られた知見をメルカリの事業に活かし、成果を継続して発信していければと思います。</p>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-ai-asset/2023/09/cdf923d7-recsys23_1-1024x552.jpg" alt="" /></p>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-ai-asset/2023/09/046bfffa-recsys23_3-1024x576.jpg" alt="" /></p>
<p><center><br />
現地でポスター発表を行ったメンバーの様子<br />
</center></p>
<h2>レコメンデーションチームについて</h2>
<p>レコメンデーションチームでは、今回の研究のような画面構成に関わる仕組みに加え、メルカリアプリの各画面における商品推薦の品質向上を行っています。</p>


メルカリAIチームの研究「Layout Optimizer for Personalized Home Screen based on Contextual Multi-Armed Bandit in C2C Marketplace」がRecSys 2023ワークショップに採択されました

協調フィルタリングとベクトル検索エンジンを利用した商品推薦精度改善の試み

<h2>■ プレゼンテーションの様子</h2>
<p><strong><br />
（追記：2023年6月22日）<br />
2023年6月20日にBerlin Buzzwords 2023で行われたプレゼンテーションの様子は、こちらからご覧いただけます。<br />
</strong></p>
<p><iframe loading="lazy" width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/11xxPUSJTss" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></p>
<h2>■ 概要</h2>
<p>メルカリAIチームのエンジニア・Teo Narboneta ZosaとRyan Ginstromが、2023年6月に行われるBerlin Buzzwords 2023にて、プレゼンテーションを行います。<br />
<a href="https://program.berlinbuzzwords.de/berlin-buzzwords-2023/talk/YLCZP8/">Building MLOps Infrastructure at Japan's Largest C2C E-Commerce Site</a></p>
<p>発表時間は、下記のスケジュールを予定しています。</p>
<ul>
<li>現地時間：2023年6月20日（火）10時00分 〜 10時40分 (GMT+2)</li>
<li>日本時間：2023年6月20日（火）17時00分 〜 17時40分 </li>
</ul>
<p>Berlin Buzzwordsは、最新のデータインフラ、検索、機械学習に関するヨーロッパを代表するカンファレンスで、2023年6月18日～20日に開催予定です。このカンファレンスは、データ分析、機械学習、スケーラビリティ、ストレージ、検索性などの分野におけるオープンソースソフトウェアプロジェクトに焦点を当てています。<br />
<a href="https://2023.berlinbuzzwords.de/about/">About – Berlin Buzzwords</a></p>
<h2>■発表のポイント</h2>
<p><a href="https://program.berlinbuzzwords.de/berlin-buzzwords-2023/talk/YLCZP8/">Building MLOps Infrastructure at Japan's Largest C2C E-Commerce Site</a></p>
<p>日本最大のC2Cマーケットプレイスであるメルカリにおける、検索のためのMLをサポートするべく構築したシステムについて解説します。</p>
<ul>
<li>高いスループットと厳しいレイテンシーを要求される、伝統的な用語ベースの検索インフラでMLを使用できるようにするまでの道のり</li>
<li>概念実証の成功から本番稼動に至るまで、インフラサイドの技術的な課題も含め、様々な恩恵があった点</li>
<li>データエンジニアリング、ETL、トレーニングパイプライン、本番におけるMLモデルの提供・監視のコツ</li>
<li>A/Bテストやモデルのモニタリングなど、初期の自作システムにおける弱点</li>
<li>A/BテストフレームワークとSeldonをトラフィックルーティングとモデル配信に使用し、自作システムをよりモダンなMLOpsインフラに進化させるための取り組み</li>
</ul>
<h2>■ Search Item understanding Teamについて</h2>
<p>Search Item understanding Teamは、メルカリのサーチ・ディスカバリー検索へのML技術導入を担当しています。</p>


メルカリのMLエンジニア Teo Narboneta ZosaとRyan GinstromがBerlin Buzzwords2023に登壇します

<p>こんにちは！メルカリのセラーエンゲージメントチームのRakeshです。最近、インターン生のメンターを担当していました。インターン生の名前は<a href="https://github.com/Priyansh-Kedia">Priyansh</a>です。彼がメルカリで担当した仕事の一部である、Firebaseを使用したクライアントサイドでの機械学習モデル構築に関してまとめたテックブログとなります。</p>
<h2>はじめに</h2>
<p>現代では、大規模データの利用が可能となったほか、処理能力やストレージ機能の進歩、自動化・データドリブンな意思決定の需要の高まりを受け、機械学習の人気が高まっています。</p>
<p>多くの企業が機械学習を取り入れたいと考えていますが、機械学習のコストは非常に高額になり得ます。開発、トレーニング、デプロイにかかるコストや、GPU、クラウドコンピューティングリソース、ストレージ、ネットワークなどの特化型のハードウェアを使用する際のコストがかさむ可能性があるためです。</p>
<p>これまで機械学習モデルは、サーバーサイドでデプロイされてきましたが、クライアントサイドでデプロイを可能にしようとする試みも増えてきました。事実、AIをエッジ上で使用するメリットは数多くあります。</p>
<ul>
<li>インターネット接続が必要ない</li>
<li>データをサーバーに送信する必要がない</li>
<li>レイテンシーが極めて短いリアルタイムの推論が可能</li>
<li>サーバーコストが少額、あるいはゼロ</li>
</ul>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-engineering-asset/2023/04/04a545e1-screen-shot-2023-04-14-at-18.19.30-1024x301.png" alt="" /></p>
<h2>クライアントサイドで機械学習を使用しようと考えた経緯</h2>
<p>メルカリでは常に革新的な機能を開発し、マーケットプレイスとしての価値を高めようとしています。「バーコード出品機能」もそのための強力な機能のひとつです。販売者は、特定カテゴリの商品のバーコードをスキャンするだけで、簡単に出品を行うことができます。</p>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-engineering-asset/2023/04/6cfc8a30-screen-shot-2023-04-14-at-18.19.19-1024x879.png" alt="" /></p>
<p>メルカリのお客さま、とりわけ新規のお客さまがメルカリの機能のすべてを理解していないというのはよくあることで、バーコード出品もそのような機能のひとつです。</p>
<p>この問題に対し、Edge AIを利用してお客さまの体験を向上させることができないか考えました。そこで、出品者によって出品されようとしている商品カテゴリがバーコード出品に対応しているかどうかを、その商品の1番目の写真を用いて、クライアントサイドで機械学習モデルを使用することで予測する「listing dispatcher」という新機能を構築しました</p>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-engineering-asset/2023/04/634182fc-image1.gif" alt="" /></p>
<h2>クライアントデバイスで機械学習を使用する方法</h2>
<p>クライアントサイドの機械学習推論として利用できるものに、人気のオープンソースモバイルライブラリのひとつである <a href="https://www.tensorflow.org/lite">TensorFlow Lite</a>があります。TFLiteには、下記のような特徴があります。</p>
<ul>
<li>オンデバイス機械学習向けに最適化</li>
<li>複数のプラットフォームをサポート</li>
<li>Java・Swiftなどの多くの言語に対応</li>
<li>優れたパフォーマンス</li>
<li>画像分類や物体検出といった数多くの機械学習タスクに対応</li>
</ul>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-engineering-asset/2023/04/baa1e664-screen-shot-2023-04-14-at-18.27.33-1024x738.png" alt="" /></p>
<p>TFLiteモデルは、apkやipaにパッケージングした状態で、AndroidアプリやiOSアプリに埋め込むことも可能です。これは、クライアントサイドで機械学習を使用するための最も簡単な方法のひとつですが、いくつかの制限があります。 </p>
<ul>
<li>機械学習モデルはサイズが大きく、パッケージングしてアプリに埋め込むとアプリ自体のサイズも大きくなるため、App StoreやGoogle Playストアでのインストール数が少なくなる可能性がある</li>
<li>圧縮のために機械学習モデルを最適化する追加のオーバーヘッドが発生するため、モデルの精度については妥協する必要がある場合がある</li>
<li>クライアントサイドの開発フローにも影響する可能性がある</li>
</ul>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-engineering-asset/2023/04/a60a0475-image5.png" alt="" /></p>
<p><center><br />
tfliteモデルをアプリアセットに追加することでAndroidに埋め込む、より優れた手法はあるのでしょうか？<br />
</center></p>
<h2>Firebase Machine Learning Custom Model</h2>
<p>上記は<a href="https://firebase.google.com/docs/ml/use-custom-models">Firebase</a> のサービスのひとつで、独自のカスタム機械学習モデルをエッジデバイス上でデプロイできます。機械学習モデルをアプリにパッケージングする必要はありません。その代わりに、アプリをインストール済みのクライアントが、バックグラウンドで必要に応じてリモートから機械学習モデルをダウンロードします。この機械学習モデルのダウンロードは一度だけ発生するもので、以降の推論で繰り返し利用されます。 </p>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-engineering-asset/2023/04/22db355f-screen-shot-2023-04-14-at-18.52.22-1005x1024.png" alt="" /></p>
<p>この方法を使用するメリットは数多くあります。</p>
<ul>
<li>機械学習モデルがFirebaseでホストされる</li>
<li>機械学習モデルのバージョン管理と機械学習モデルの管理できる</li>
<li>クライアントサイドの開発フローと機械学習開発フローを分離できる</li>
<li>常に最新バージョンの機械学習モデルがアプリで使用される</li>
<li>最新のモデルをダウンロードするタイミングに関して条件を設定できる</li>
<li><a href="https://firebase.google.com/docs/ml/android/ab-test-models">A/B test two versions of a model</a></li>
</ul>
<p><img src="https://storage.googleapis.com/prd-engineering-asset/2023/04/66d12291-image6-1024x631.png" alt="" /></p>
<p><center><br />
Firebaseの動的モデル読み込みを使用することには多くの利点があるものの、以下の点には注意する必要があります。<br />
</center></p>
<ul>
<li>エラー処理 : 機械学習モデルの新しいバージョンにエラーが発生した場合、デフォルトモデルへのフォールバックや機械学習機能の無効化を実行する</li>
<li>モデルをダウンロードするタイミング : たとえば、ユーザーがWi-Fiに接続されている場合のみダウンロードするなど</li>
</ul>
<h2>まとめ</h2>
<p>機械学習は、物体検出やバーコードスキャンなど、幅広いユースケースで非常に有用です。機械学習をクライアントサイドで使用するにあたってはさまざまな課題がありますが、Firebaseのカスタムモデルであれば、APIによるリモートからの機械学習モデルのフェッチ、モデル管理を簡単に行えます。また、テストの迅速化にも貢献し、デベロッパーによる構成のカスタマイズも可能になります。</p>


Firebaseを活用したクライアントサイドにおける機械学習モデルの管理

<h2>■概要</h2>
<p>この度、メルカリAIチームのエンジニア・Deddy Jobsonによる論文「<a href="https://ceur-ws.org/Vol-3318/short20.pdf">Want robust explanations? Get smoother predictions first. </a>」が、国際学会「<a href="https://www.cikm2022.org/">CIKM2022</a>」内の<a href="https://project.inria.fr/aimlai/">AIMLAIワークショップ</a>に採択されたことをお知らせいたします。CIKM2022（The Conference on Information and Knowledge Management）は、データマイニング・情報検索の分野で最も権威ある国際学会の一つで、世界中の研究者らによって毎年開催されています。</p>
<h2>■発表内容のポイント</h2>
<ul>
<li>LIMEやSHAPを使う前に、MLモデルの予測値を平滑化することで、解釈性の頑健性が改善します</li>
<li>我々の論文で紹介したLipshitzスコアを適用することで解釈性の頑健性を向上させることができました</li>
</ul>
<h2>■研究の背景</h2>
<ul>
<li>LIMEやSHAPのようなモデルに依存しない解釈可能性手法は、複雑なMLアルゴリズムによる予測を説明するのに役立ち、その信頼性を高めることができます</li>
<li>しかし、これらの手法は頑健性に欠け、入力に小さなノイズが加わると、出力予測が変化しないにもかかわらず、これらの手法によって提供される説明が大きく変化してしまいます</li>
<li>そのため、説明に対する信頼が損なわれ、MLモデルの採用が妨げられてしまいます</li>
</ul>
<h2>■研究概要</h2>
<ul>
<li>今回、我々は説明の頑健性を向上させるための簡単なアプローチを提案しました</li>
<li>各データポイントについて、入力にガウスノイズを加え、それをモデルを通じて検証し、アウトプットを得ます。これを複数回行い、各データポイントの平均を計測しました</li>
<li>予測が滑らかになり、頑健なLIMEとSHAPの出力を得ることができ、その結果、解釈の信頼性が向上しました</li>
</ul>
<h2>■MDS Teamについて</h2>
<p>MDS（マーケティングデータサイエンス）チームでは、統計学、機械学習、数学的最適化を用い、マーケティングキャンペーンの効率を向上させることを目的としています。</p>


メルカリAIチームの研究「Want robust explanations? Get smoother predictions first.」がCIKM 2022 ワークショップに採択されました

<h2>■概要</h2>
<p>この度、メルカリAIチームのエンジニアDeddy Jobsonによる論文「Estimating the impact of coupon non-use」が、国際会議「<a href="https://2022.ecmlpkdd.org/">ECML PKDD 2022</a>」併催のワークショップに採択されたことをお知らせします。ECML PKDD（&quot;European Conference on Machine Learning and Principles and Practice of Knowledge Discovery in Databases&quot;）は、データマイニング・機械学習分野のトップカンファレンスで、毎年世界中の研究者によって開催されています。</p>
<p>今回採択された論文は、2022年9月にフランス・グルノーブルで開催された「ECML PKDD 2022」併載のワークショップ「<a href="https://upliftworkshop.ipipan.waw.pl/">Uplift Modeling Tutorial &amp; Workshop</a>」内にてポスター発表が行われました。</p>
<h2>■発表内容のポイント</h2>
<ul>
<li>ユーザーが割引クーポンを利用しない現象についてリサーチを実施</li>
<li>マーケティングクーポンの使いづらさがもたらすビジネス上のマイナス影響を因果関係分析で定量化を試みました</li>
</ul>
<h2>■研究の背景</h2>
<ul>
<li>メルカリは、多くのマーケティングキャンペーンを実施しており、ユーザーが商品購入時に利用できるクーポンを配布しています</li>
<li>このようなキャンペーンは非常に成功している一方で、クーポンを入手したユーザーのうち、相当数がクーポンを利用できていないことも確認されています</li>
<li>クーポン利用率の測定から、クーポンを使用せず商品を購入したユーザー数を測ることは可能だが、配布したクーポンを使用した場合に商品を購入したであろうユーザー数を直接推論することはできません</li>
</ul>
<h2>■研究概要</h2>
<ul>
<li>因果関係図とベイズモデルを用い、クーポンが利用されないことによるビジネスインパクトを推定</li>
<li>実験を通じ、配布クーポンの使い勝手を向上させることで、マーケティングキャンペーンが大きな恩恵を受けられることが判明しました</li>
</ul>
<h2>■MDS Teamについて</h2>
<p>MDS（マーケティングデータサイエンス）チームでは、統計学、機械学習、数学的最適化を用い、マーケティングキャンペーンの効率を向上させることを目的としています。</p>


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